企業診断入門

企業診断の方法

企業を診断するとは何を行うことか

企業を様々な面から現状調査し、解決すべき課題を見つけ出し、課題の解決に繋がる現状の改善提案や新規経営アイデアの提案をすることです。

  1. 経営の現状調査
  2. 経営課題の抽出
  3. 改善策の提案、新規経営アイデアの提案

診断のポイント

現状調査する対象と調査のポイントは、以下のようになります。

  1. 経営方針と経営戦略:明確化されているか。社内全体で共有されているか。社内と社外の状況を客観的に分析し妥当な設定となっているか。状況変化への対応が考えられているか。
  2. 経営組織:トップダウン、ボトムアップの意思伝達が十分に行える体制か。人材が活用でき無理がなく効率的な体制となっているか。労働への動機づけがなされる体制であるか。
  3. 財務:正確な現状把握ができているか。収益性・安全性・効率性は十分か。資金計画は妥当か。
  4. マーケティング:商品構成、価格、販促活動など現状のマーケティング活動・戦略は妥当か。

診断の手順

診断の手順(プロセス)をまとめると以下のようになります。

  1. 依頼者の診断ニーズの把握
  2. 診断の手順を記した診断フローチャートの作成
  3. ラフスケッチによる仮説作成(経営課題とその解決法、新規提案事項)
  4. 調査計画立案(内部資源と外部環境の調査において何を調べるか、何のデータを入手するか)
  5. 内部資源調査(ヒト、モノ、金、情報、商品)
    1. インタビュー、財務データ入手、現地調査
    2. 仮説説明-会社データ提示・分析(標準比較、前期比較、他社比較)-診断企業への影響評価
      1. 経営方針と経営戦略の現状
      2. 経営組織の現状
      3. 財務の現状
      4. マーケティングの現状(商品・サービス、販売促進、流通)
  6. 外部環境調査(アンケート、商圏、地域統計データ、全国統計データ)
    1. 統計資料の収集、ネットによる調査、お客様アンケート、顧客観察・通行量調査
    2. 仮説説明-データ提示・分析(トレンドの把握)-診断企業への影響評価
      1. 既存商品・サービスに対する顧客及び潜在顧客の現状と傾向
      2. 既存商品・サービスに対する競合他社商品・サービスの現状と傾向
      3. 社会環境変化による新市場・新商品の可能性
  7. SWOT分析: 強み・弱み・機会・脅威の表の作成、表の分析による経営課題抽出
  8. 2次元分析: PPM、アカロフ表、ポジショニング、2次元マッピングによる見える化と分析と経営課題抽出
  9. 経営課題とその解決策、新規提案事項の立案
    1. 解決策候補の立案、根拠資料の収集、解決策の選定
    2. 新規提案候補の立案、根拠資料の収集、新規提案の選定
    3. 今後5年の経営計画(売上、利益、投資、事業領域、組織体制)、財務計画(資金調達と返済、資本構成、財務指標改善)、販売計画(商品構成、商品別売上、新商品、販促活動)の提案、販促活動年間カレンダーの提案
    4. 経営課題の解決、新規提案、今後の計画に活用可能な公共施策の調査
  10. 報告書の骨子作成
  11. 報告書作成
  12. 報告会実施
  13. アフターフォロー

診断前準備

企業診断は、情報収集から。診断するには、企業の現状把握が大切です。なるべく多くの情報を収集し分析します。情報収集の基本となるのはインタビューです。

インタビュー

インタビューはまずは社長をはじめ経営幹部に行います。 経営幹部だけでなく、各部門の社員の声も大切です。現場の声をたくさん聞けば 課題も見えてきます。各人から、現状の業務の説明だけでなく、本人が感じている問題点、改善のアイデアなどを引き出すのです。 社内の各階層にインタビューできれば、経営幹部と現場従業員の会社や業務に対する見方の違いを把握できます。 これらは組織診断や経営方針、等に材料となります。 実際の業務を一番知っているのは社員です。社員からアイデアを引き出すようなインタビューが必要です。 インタビューした内容は、統一形式でまとめましょう。

社内資料の収集

企業診断を行う際の基礎資料として以下の資料を集めます。

  1. 貸借対照表過去5年分
  2. 損益計算書過去5年分
  3. 組織図
  4. パンフレット、Webページ

社外資料の収集

企業を取り巻く環境を把握するために、社会経済状況に関する資料を収集します。

  1. 政府刊行物・統計資料
  2. インターネット口コミ情報
  3. 業界動向の資料
  4. 新聞

社内観察

インタビューは、社員の視点での情報の収集でしたが、社外の目、つまり診断者の目も重要です。 可能であれば、社内をくまなく歩き、写真が可能であれば撮影して記録しましょう。 事業所であれば、機械や物の配置、製作過程を記録します。 店舗であれば、商品の配置、お客や従業員の動き、動線の確認などを行います。 社内観察のチェックポイントは以下のとおりです。

  1. 整理整頓の状況
  2. 指示版、案内図
  3. 社員の啓蒙活動

社外観察

事業所であれば会社の外観もチェックしましょう。 店舗であれば、店舗をお客の気持ちになってよくチェックしましょう。 店舗の場合は、少し広い範囲を歩いて、環境、他の店舗の状況、競合店を確認しましょう。 社外観察のチェックポイントは以下のとおりです。

  1. 入りやすい(心理的抵抗感のない)お店かどうか
  2. 道路からの視認性
  3. 潜在顧客への訴求力

ケースによるデータの収集

診断先によっては、下記の調査も必要となります。

  1. 通行人アンケート調査
  2. 売り場の観察
  3. POSデータ分析
  4. 顧客アンケート
  5. 通行量調査
  6. 店舗周辺環境調査

情報の分析

会社の状況を分析するために、様々な分析ツールが役立ちます。代表的なものを紹介します。

経営分析

SWOT分析

会社を取り巻く状況(外部環境と内部資源)を分析するツールです。社内の内部資源分析から自社の強みと弱みも抽出します。外部環境の分析から、会社を取り巻く機会と脅威を抽出します。この表の利点は、外部環境と内部資源分析を組み合わせて同時に表現できることです。表は次のようになります。

内部資源の分析
強み 現在の経営環境に対する強み
弱み 現在の経営環境に対する弱み

外部環境の分析
機会自社にとって機会となっている現在の経営環境
脅威自社にとって脅威となっている現在の経営環境

SWOT分析の表
機会 脅威
強み
機会をチャンスと捉え、強みを最大限活かす。
脅威を強みによって最小限に抑える。
弱み
機会を活かせるよう弱みを克服する。
脅威に耐えられるよう弱みを克服する。

SWOT分析の留意点

強みとなる部分はもっと伸ばし、弱みは克服しなければなりません。機会は絶対に逃さないようにし、脅威は対策が必要です。いずれも経営課題となりますが、あれもこれもと同時に問題解決を図ることは容易ではありません。また、それぞれの項目は独立しているわけではなく、相互に関連があるのが普通です。課題は優先順位を付けることが大切です。課題がはっきり見えれば、診断や改善対象が明確で、取り組みやすくなります。留意点は以下のとおりです。

  1. 個別的ことがらを経営課題とするより、全体的な課題を抽出する。
  2. 努力、創意工夫によって解決可能な課題とする。
  3. 課題となることがらは、相互に関連しているので、その大元となる課題を見つけ出す。
  4. 過去に対しての内部経営資源の強み弱みではなく、外部環境の今後の変化に対しての強み弱みを記述すること。

PPM

多くの事業を行っている場合、事業間の関係や、事業毎の大局的方針を分析するのに、PPMが有効です。PPMは、横軸に市場シェアを、縦軸に市場成長率を置いて、各事業をマッピングしたものです。事業を、市場シェア、市場成長率それぞれで見るのではなく、2つの組合せで見ることに特長があります。事業の位置関係により、今後強化すべき事業、縮小すべき事業を見定めます。

PPMのフォーマット
高競争力 低競争力
高成長
低成長

5つの力

会社の事業競争力を視覚的にまとめる手法として「5つの力」があります。5つの力は、会社が会社外の利害関係者と力を相互作用させているかを表します。5つの力を図式化することで、市場環境の中において競争上のネックとなっている部分を見つけます。5つの力は、仕入れ業者との交渉でどれだけ安く調達できるか買い手の交渉力、顧客や販売業者へどれだけの量を高く買ってもらうかの売り手の交渉力、市場競争での同業他社、参入した場合に競争相手となる潜在的新規参入業者、代替品からの影響である。いづれも自社への脅威となるもので、自社の脅威への対応力、競争力をチェックする。

記入フォーマットの例
現状 改善策
新規参入者
競合他社
代替品
売り手
買い手

バリューチェーン

企業は顧客に何を提供できるのでしょうか。顧客は商品やサービスの持つ付加価値に対して対価を払っていると考えられます。企業が付加価値をを生み出し顧客に提供するとすると、どこのどの部分で生み出されたかを把握分析することが重要です。

記入フォーマットの例
現状 改善策
調達
加工・商品化
販売・顧客対応
販売後
利益

マーケティング分析

商品ポジショニング

PPMは事業のポジショニングによって、位置関係を見るものですが、2つの尺度・見方によって、ポジショニングを行い、マーケティングを立案するのが、製品ポジショニングです。特徴は、2つの尺度・見方で同時に各商品の位置づけを読み取れることです。1つの尺度だけで見ると見落としが発生します。見方のポイントは、一つは商品間で重複がないかです。商品のラインアップを考えるのに、商品間で対象顧客層やイメージ、用途を差別化すると、より多くの消費者ニーズに応えることができます。ポジショニングでは、商品間の距離で把握します。もうひとつは、商品の性格付けを明確化し、価格設定、販売促進計画の策定に活かすことです。

記入フォーマットの例
Bである Bでない
Aである
Aでない

各商品のラインアップの位置づけの把握から、全体のバランスをとり、全体としての売り上げ・利益の向上を目指すものである。商品の分析には、商品間の位置付けでなく、その商品の販売量に注目した分析も必要です。

ABC分析

ABC分析は、沢山の商品をクラス分けし、各クラス毎に管理販売方針を定めるもので、分割して統治せよとの格言に基づく管理手法です。クラス分けは、一般に売上高で決めます。売れ筋商品から順にAランク、Bランク、Cランクと分けます。全体の2割の商品が売り上げ全体の8割を占めることがあります。2割が8割を占める現象はパレートの法則と呼ばれ、起きやすい現象です。分析のポイントは、クラス分けされた商品の比率です。バランスがとれていなければ商品構成の見直しが必要となります。なお、売上だけでクラス分けしても、利益やコストなど他の尺度で見たクラス分けが異なる場合もあります。一つの指標だけでなく幾つかの指標でクラス把握と管理方針を定めることが留意展です。

記入フォーマットの例
現状 改善策
A分類
B分類
C分類

4つのP

4つのPとは、商品(Product)、価格(Price)、販売促進(Promotion)、物流(Place)の頭文字をとったものです。マーケティングでの考慮点は、この4つに集約されます。この4つの項目を検討し、それぞれ戦略を練ることで、販売力が向上します。

記入フォーマットの例
商品
価格
販促活動
流通・販売先

市場戦略

商品と商品を投入するターゲット市場との関係を整理する必要があります。商品戦略には主に2つあります。新分野進出といっても、新しい分野の商品とするか、新しい顧客を開拓するかです。組み合わせで4通りとなり、それぞれに検討すれば、効果的な戦略を立案できます。既存の顧客には新しい商品投入で魅力を高められるし、既存の商品でも新しい顧客を対象とすれば、また、新たな顧客を開拓すれば販売を強化できるのです。

記入フォーマットの例
既存市場・既存顧客 新市場・新顧客
既存商品
新商品

財務・会計分析

損益分岐点分析

損益分岐点分析は、事業の成立性を見るため、投資やコストを回収できるかを把握し、利益計画を立てる上で重要な分析ツールです。これにより投資やコストの回収に必要な販売目標の設定や一定の利益を得るための販売目標の設定が可能となります。図で示すように、費用を固定費と変動費に分け、費用曲線を描きます。売上曲線を記入し、交点が損益分岐点です。そこが当面の売上目標となります。更に一定の利益を得られる線を描き、交点は利益目標となります。他の利点は、コスト管理にも使えること、固定費、変動費、価格、売上で何が原因となっているか把握できること、固定費、変動費、価格の変化が利益や販売目標に与える影響も分かることです。

記入フォーマットの例
現状 改善目標
固定費
変動費
損益分岐点売上高
利益

財務諸表分析

財務諸表を分析します。財務諸表は会社の成績表、これを分析することは会社全体の業績の評価、改善点の抽出、今後の経営戦略など多くのことが分かります。財務は会社全体を表す数字なので、全体の分析、数字で表現されているので客観性のある解釈が可能です。財務分析の視点は、収益性、効率性、安全性の3つです。

収益性

収益性は利益がでているかを見ます。売上が確保されていても、その分コストも多ければ利益は出ません。売上高利益率で収益性を評価します。このとき、費用の評価も重要です。費用は固定費と変動費に区分けされ、各事業ごとに把握されていることです。売上も利益も各事業ごとに必要です。収益が上がらない事業、コストのかかる事業を見つけ、改善します。

効率性

次の視点は、効率性です。効率性は事業に無駄がないことで、非効率な部分を見つければ余分に投入されている経営資源をべつのものに回すことで、コスト削減を図れます。

安全性

安全性は、事業の存続を担保する資金繰りが継続できるかという視点です。安全性は、借入金の支払い能力です。流動比率=流動資産/流動負債、自己資本比率=自己資金/総資産、固定長期適合率=固定資産/固定負債で見ます。値が大きい方が良いのは当然ですが、注意点は大きすぎないかということです。安全性を確保するために、事業へ現金の保有を優先するために、事業への投資が抑えられていることがあります。

事業価値

最後は事業価値の評価です。会社の資産は実質いくらの価値があるかです。会社の経営資源で、将来どれくらいの価値(利益)をもたらす可能性があるかです。事業価値は会社の将来性を表します。

分析の仕方

分析は数字の計算に終わってしまいがちです。計算された数字は、まず過去と比較します。時系列で数字の動きを見ます。今後の予測ができます。次に同じような規模の競合他社と比較します。相対的な位置づけが分かります。最後に業界指標と比較します。中小企業であれば、中小企業の経営指標があるので、比較すれば、業界標準との比較ができます。

記入フォーマットの例
現状 過去との比較 他社(or標準)との比較 改善目標
収益性
効率性
財務安全性
安全性
財務安全性
企業価値評価

組織分析

組織が事業遂行に目的が明確であるか、機能しているか、効率的であるかは、下記の視点でチェックします。組織が経営目標を共有しているか、トップのリーダシップが浸透しているかがポイントです。共通の目標があり、各人がその達成に向かって各人の役割を果たしているかを見ます。次のポイントは、組織の生産性・効率性です。事業には多くの経営資源を投入しますが、人的資源が計画したとおりの活動を行っているか、人の体制・配置は適切かどうかを見ます。体制によって事業の生産性、コストダウンを目指します。最後は、人的資本の蓄積・向上・動機づけです。組織は個々の個人で構成されています。組織の分析は個々の人に焦点をあてることも重要です。組織の問題は、教育訓練によって解決可能なものもあります。教育訓練プログラムの導入、動機づけは、直接的な経営改善にはつながらないが、長期的には大きな生産性向上につながる。

記入フォーマットの例
現状と改善策
トップのリーダーシップ・浸透性
組織の生産性・効率
人的資本の蓄積・向上・動機づけ

事業計画・工程表分析

事業計画は現在が計画的に進んでいるかをチェックするだけでなく、将来の方向性が妥当かも評価できます。すでに計画があるなら、その評価を、ない場合は計画を作成することで、経営課題が見えてきます。

記入フォーマットの例
短期 中期 長期
A
B

事業リスク分析

事業活動には不確実性があります。経済環境、原材料価格動向、売上の不確実性、新製品の不確実性など、通常の事業活動にかかわるものから、突発的な自然災害、不祥事、恐慌などです。次善の準備があれば、これらの不確実性にすぐに対応できます。損害を未然に防いだり、損害の程度を抑えたり、代替手段に直ぐに切り替えたりできます。不確実性は、頻度、発生した場合の損害程度で表現します。その事象に対する防止策、発生した場合の対応策を立案します。

記入フォーマットの例
リスク要因 発生確率 発生時の影響度発生の予防策
A
B

ビジネスモデル

各個別に分析ができたら、会社全体を別の視点で取りまとめましょう。まとめ方の一つは、ビジネスモデルのとらえ方です。事業モデルは、会社が何の事業を行っているかです。○○の販売という表面的な見方ではなく、ターゲットとする潜在顧客への訴求力、提供される付加価値は何かということです。そして、他者との競争の中で確実に利益をもたらす仕組みを明確化するのです。

記入フォーマットの例
現状 改善提案
事業ドメイン
利益モデル
オペレーションモデル

経営課題の抽出と改善策の提案

分析の視点

様々な調査分析を行ったら、会社を取り巻く環境はどうであるかという視点でまとめましょう。会社の置かれた状況(外部環境)と会社の内部状況(内部資源)を分析し、課題抽出、解決策提案につなげます。

  1. 経営の見える化
  2. 分析と課題抽出
  3. 課題解決のための計画
  4. 実行
  5. 結果の評価
  6. 会社の実態がわからない。
  7. 売上を上げたい。
  8. 利益を上げたい。
  9. 会社を大きくしたい。
  10. 事業領域
  11. 将来の方向性
  12. 経営の効率度
  13. 固定費の削減
  14. 変動費の削減

記入フォーマットの例
分析内容現状改善策
経済・市場分析
(経済統計、行政情報、マスコミ情報等)
競合他社分析
(口コミ、実地調査、業界調査、比較表等)
顧客動向分析
(口コミ、経済統計、商圏顧客特性調査、意識調査等)
広報活動分析
(Webページ、店舗、宣伝、販売促進活動調査等)

改善策の視点

経営課題を抽出したら、課題それぞれに改善策を提案します。改善策は願望ではなく、5W1H、いつまでに、どこで、どのように、何を、どうするかを明確に記述します。

記入フォーマットの例
現状改善策
売上の増大
コスト削減
リードタイム削減
品質向上
顧客サービス向上

経営課題と改善策の提案

様々な調査・資料分析を通じて、表にまとめます。診断対象と改善策がはっきり対応するようにします。課題は、初めは大きな課題を設定し、それをブレイクダウンする形で、部分課題に落とし込んでいく。それにより、漠然とした課題が、より具体的で明確化した課題の設定ができます。

記入フォーマットの例
経営者 診断 改善策
経営方針
課題・問題点
将来の方向性

公的支援策の活用

経営課題を解決するには、企業の自力だけでは足りない場合が多い。特に人、モノ、資金、情報など経営資源の乏しい中小企業にとってはそうです。このため、中小企業向けに様々な公的支援策が用意されています。 国、地方自治体は様々な政策で中小企業を支援しています。主なものは、補助金、低利融資、債務保証、税額控除、専門家によるアドバイスなどです。政策を知らないで機会損失となっている場合も多い。企業の経営改善に適した政策を提案し活用すれば、大きな力となります。

記入フォーマットの例
名称 概要特長
A
B

公的支援策の枠組み

公的支援策には様々なものがありますが、政策の基本的枠組みには共通性があります。それは以下のもので、この枠組みでほとんどの政策が実施されます。

支援先の条件

中小企業政策によって支援を受ける対象企業は、以下の定義による中小企業です。中小企業の中でも特に規模の小さい企業を小規模企業者として、更に手厚い支援策があります。

中小企業の定義

  1. 製造業:資本金3億円以下又は従業者数300人以下
  2. 小売業:資本金5000万以下又は従業者数50人以下
  3. サービス業:資本金5000万円以下又は従業者数100人以下

中小企業のうち小規模企業者の定義

  1. 製造業:従業者数20人以下
  2. 商業・サービス業:従業者数5人以下

中小企業の連携体

  1. 複数の中小企業で構成する事業協同組合、商店街振興組合
  2. 中小企業と大学等で構成する共同研究体・技術研究組合

政策的見地から重点的に支援する事業

中小企業に係る事業のうち、下記の3つが政策的見地から重点的に支援する事業に該当します。

  1. 創業、緊急的支援、経営革新(新事業進出、事業転換、販路開拓、海外進出)、事業再生、事業承継、研究開発・事業化、再チャレンジ、被災
  2. 健康・環境・省エネ投資、IT化投資、防災設備投資、設備投資
  3. 地域産業資源、農商工連携、伝統的工芸品、ものづくり基盤維持、地域の企業立地の維持、物流、地域商店街活性化、中心市街地活性化

支援策実施機関

支援機関としては、全国規模の機関では、中小企業庁、中小企業基盤整備機構、全国中小企業団体中央会、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業投資育成株式会社、日本貿易振興機構などです。地域の機関では、自治体、地域中小企業支援センター、地域信用保証協会、地域商工会・商工会議所、地域金融機関などです。

支援策の概要

支援策は、低利融資、助成金、税額控除、信用保証、出資、専門家派遣・経営相談、情報インフラ提供、施設・設備の貸借、研究委託、雇用支援、小規模企業支援など様々です。支援策の特長をそれぞれ列挙すると、以下のようになります。

助成金制度

政策的見地から重点支援する事業に対して、事業費の一定割合を補助する制度。

融資制度

日本政策金融公庫や商工組合中央金庫から、低金利で設備資金や運転資金の融資を受ける制度。条件によって、無担保・無保証人、信用保証協会による信用保証が可能。

信用保証制度

金融機関から融資を受ける際に、都道府県信用保証協会による信用保証が受けられる制度。信用保証料の減額措置。

税額控除

政策的見地から重点支援する活動(研究開発、設備投資等)に対して、一定の条件を満たした場合、活動費の一定割合を法人税等から控除する制度。軽減税率の適用。欠損金の繰越控除。

投資制度

中小企業投資育成株式会社が対象中小企業や中小企業連携体に出資金を拠出する制度。

専門家派遣・経営相談

地域商工会・商工会議所、地域中小企業支援センターが行う、経営の専門家の助言、中小企業が抱える問題の相談事業。

情報インフラ提供

展示会への出展支援、イベント・セミナーの開催、支援機関が開設したWebサイトへの登録とコンテンツの掲載による情報発信。

施設・設備の貸借、研究委託

ビジネスインキュベータ施設、公設試験所の利用。承認された研究開発計画に基づく研究開発への助成。

雇用支援

教育訓練、新規雇用、労働者の雇用維持、過疎地域雇用者採用、高齢者雇用・障害者雇用への助成金。雇用増企業には税額控除。

小規模企業支援

小規模企業共済制度、小規模企業設備資金貸付制度(無利子)、小規模企業設備貸与(リース)制度。

政策利用スキーム

政策を利用する手順には共通性があり、概ね以下の通りです。

  1. 専門家による窓口相談、申請書(事業計画等)作成助言
  2. 申請書(事業計画、設備投資計画、研究開発計画、経営革新計画、活性化計画等)の提出
  3. 申請書の承認
  4. 計画に基づき事業を実施、支援策の実行
  5. 専門家による事業のフォローアップ

事業計画の作成

公的支援策を利用したり、金融機関から資金支援を受けるには、明確な事業計画が必要です。事業計画の妥当性が審査され、合格しないと支援が受けられないからです。改善提案の実施を事業計画に組み込むことで実効性が上がります。

事業計画書の構成例

  1. 創業の動機・目的
  2. 創業者の経歴、事業経験、資格、資産・負債の状況
  3. 事業で取り扱う製品・商品・サービス、及びそのセールスポイント
  4. 想定する仕入先・外注先・販売先、売掛・買掛金の回収見込み
  5. 必要な設備資金額と運転資金額とその内容
  6. 資金の調達先: 自己資金、家族・親戚等からの借入、政府系金融機関借入、民間金融機関借入
  7. 事業計画(創業時、一定期間後): 売上高、経費(変動費、固定費)、利益、及びその積算根拠

記入フォーマットの例
創業時 2年後 4年後
売上高
 内訳:売上高A
 内訳:売上高B
変動費
 内訳:仕入・原材料費
 内訳:外注費
固定費
 内訳:人件費
 内訳:営業活動費
利益
運転資金
設備投資
自己資金残高
借入残高
総資産
従業員数

研究計画書の構成例

  1. 研究テーマ
  2. 達成目標
  3. 各年度ごとのサブテーマと実施時期
  4. 各年度ごとの資金調達先: 自己資金、政府系金融機関借入、民間金融機関借入、 株式、補助金・委託費
  5. 研究協力者
記入フォーマットの例
1年目 2年目 3年目
研究開発テーマ
 サブテーマA
 サブテーマB
製作費
外注費
人件費
研究設備購入
自己資金投入
借入金投入
研究協力者

経営革新計画書の構成例

  1. 経営革新のテーマ、内容
  2. 既存事業との相違点
  3. 実施体制
  4. 経営指標(付加価値額、1人当たり付加価値額、経常利益額)の現状と目標値
  5. 経営計画(2年前~5年後)
    • 記載項目: 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、経常利益、人件費、減価償却費、付加価値額、設備投資、運転資金、自己資金、政府系金融機関借入、民間金融機関借入
    • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

経営改善計画書骨子の構成例

  1. 事業概要
  2. 業績悪化原因
  3. 経営改善方針、及び改善目標
  4. 経営改善一覧表
    • 対象: 生産、販売、仕入、管理面、流動資産、固定資産、流動負債、固 定負債
    • 項目: 業績悪化要因、改善策とその効果、達成目標、実施時期、実施 体制
  5. 損益計算書計画(現在~3年後): 各項目の改善方針
  6. 貸借対照表計画(現在~3年後): 各項目の改善方針
  7. 資金調達の見通し(現在~3年後): 自己資金、助成金、借入(調達金融機関名及び借入金残高)

経営改善計画書の構成例

  1. 経営理念、経営方針
  2. 損益計算書と貸借対照表(過去3年)
  3. 売上高、経費、利益、財務について過去分析、将来予測
  4. SWOT分析
  5. 中期経営目標:売上高、経常利益、財務指標
  6. 次年度経営目標:売上高、経常利益、財務指標
  7. 目標達成への基本方針
  8. 改善計画(現状~3年後): 各項目ごとの目標、改善策、積算根拠
    • 売上高
    • 変動費:仕入高、原材料費、外注加工費等
    • 限界利益(売上総利益)
    • 従業員数
    • 固定費:製造労務費、営業人件費、減価償却費、賃貸料、光熱費等
    • 営業利益
    • 経常利益
    • 減価償却費
    • 営業CF
    • 付加価値額
    • 設備投資(投資CF)
    • 自己資本
    • 借入金残高
    • 財務CF(借入金増加減少)
    • 流動資産、固定資産
    • 流動負債、固定負債
    • 債務償還年数:長短借入金/経常利益
    • 総資産
  9. 改善策:4つの視点(売上増加、経費削減、管理強化、財務強化)で考える。
  10. 売上増加策(現状、今後3年)
  11. 取引先別売上計画
  12. 経費(変動費、固定費)削減策(現状、今後3年)
  13. 経費(変動費、固定費)項目別経費計画
  14. 管理強化策(現状、今後3年)
  15. 組織、取引先関係、情報管理の改善目標水準、改善スケジュール、実施 体制
  16. 財務強化策(現状、今後3年)
  17. 財務指標の改善計画(例えば、棚卸資産回転率、遊休固定資産等)

記入フォーマットの例
現在 2年後 4年後
売上高
 内訳:売上高A
 内訳:売上高B
変動費
 内訳:仕入・原材料費
 内訳:外注費
固定費
 内訳:人件費
 内訳:営業活動費
利益
減価償却費
付加価値額
営業CF
設備投資(投資CF)
運転資金
自己資金・助成金残高
借入残高
財務CF
流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
従業員数

診断報告書の作成

情報収集した内容、抽出した経営課題、改善策の提案、最適な公的支援策の紹介、事業計画書などは、診断報告書としてまとめ、経営者に提出します。

報告書作成のポイント

本を調べて報告書を書く。

診断先企業から入手した資料だけでなく、官公庁の報告書・統計資料、経営学の本、新聞等からも材料を得ると良くなります。報告書は実践的側面だけでなく、一歩引いた理論的側面の記述も有益です。

具体的計算例を示す。

抽象的な内容に終始することなく、具体的な数字を仮定して結果を計算して示すと説得力が増します。

経営学の教科書的分析がうける場合もある。

経営学理論を使った分析を示すと、説得性が増します。

報告書の構成

様々な調査、分析、改善提案は、診断報告書としてまとめ会社に提出します。報告書の骨格の例を示します。

  1. 表紙
  2. 目次
  3. 報告書の概要及び結論
  4. 導入部分(はじめに、診断フローチャート、報告書の構成)
  5. 診断結果
    1. 内部資源調査(ヒト、モノ、金、情報、商品):仮説説明-会社データ提示・分析(標準比較、前期比較、他社比較)- 診断企業への影響評価
      1. 経営方針と経営戦略の現状
      2. 経営組織の現状
      3. 財務の現状
      4. マーケティングの現状(商品・サービス、販売促進、流通)
    2. 外部環境調査(アンケート、商圏、地域統計データ、全国統計データ):仮説説明-データ提示・分析(トレンドの把握)- 診断企業への影響評価
      1. 既存商品・サービスに対する顧客及び潜在顧客の現状と傾向
      2. 既存商品・サービスに対する競合他社商品・サービスの現状と傾向
      3. 社会環境変化による新市場・新商品の可能性
    3. SWOT分析:強み・弱み・機会・脅威の表の作成、表の分析による経営課題抽出
    4. 2次元分析:PPM、アカロフ表、ポジショニング、2次元マッピングによる見える化と分析と経営課題抽出
    5. 経営課題の解決策、新規提案事項の提案
      1. 解決策とその根拠資料の提示
      2. 新規提案事項とその根拠資料の提示
      3. 今後5年の経営計画(売上、利益、投資、事業領域、組織体制)、財務計画(資金調達と返済、資本構成、財務指標改 善)、販売計画(商品構成、商品別売上、新商品、販促活動)の提案、販促活動年間カレンダーの提案
      4. 経営課題の解決、新規提案、今後の計画に活用可能な公共施策の紹介
  6. まとめ
  7. おわりに
  8. 添付資料
    1. 会社基礎調査票(会社概要、業績データ、財務諸表、財務分析表)
    2. 調査データ(顧客アンケート、通行量調査結果)

報告書作成の留意点

報告書作成時の留意事項を下記にまとめました。

  1. 報告書は、報告を受ける者(経営者等)のニーズに応えたものでなければならない。
  2. 報告書は、斜め読みしても内容が伝わるような簡潔、明瞭、分かりやすいものでなければならない。
  3. 報告書は、過去の結果分析だけでなく、将来の方向性も提示するものでなければならない。
  4. 経営課題は、過去の課題ではなく、現在の課題、そして近い将来発生しうる課題への防止策でなければならない。過去どうであったかの記述より、今後どうするかの記述を中心とする。
  5. 経営の欠点探しにならないように、良い点を見つけそれを更に伸ばすような提案をし、欠点は解決のための実現可能な提案を行う。
  6. 総括表や結論、まとめなど、一見で報告書の内容が分かるものを報告書に含める。
  7. 課題や解決策、新規提案は、たくさんの案を羅列するのではなく、ほんとうに重要なものに絞って詳しく論述する。
  8. 表やグラフ、写真、図案を活用し、視覚的に分かりやすいものとなるよう工夫する。
  9. 具体的に商品やサービスを提案するとよい。
  10. 提案には、必ず客観性のある根拠を提示する。
  11. 自分は消費者の一人であり、消費者の視点に立って論述すると説得性が増す。
  12. 顧客を2つのタイプに分け、2つの顧客タイプの商品評価と購買行動を比較すると分かりやすい。
  13. 商品・サービスのコンセプトは、3つのキーワードで決める。例えば「薄い」「軽い」「安い」など。
  14. 課題、解決策、新規提案も、3つのキーワードで決める。
  15. 顧客に提供すべき付加価値は何かを明確にし、それを増大させる方法を提案する。
  16. 国や自治体の施策の変化を報告書で紹介し、その変化に対応した経営戦略を提案する。

各分野ごとの診断ポイント集

各分野ごとの診断ポイントをまとめてみました。

診断手法

  1. 相談内容チェックシートを基に相談者の話を聞く。
  2. 聴いた話を整理する。
  3. 課題と課題とならないものを分類する。
  4. 改善計画書を作成する。
  5. 個々の領域は専門家(税務、法務等)にまかせる。自身は、コーディネータ役、計画管理役を担う。
  6. 問題点を見つけても、その問題が解決できればよいのではなく、その問題が生じた原因こそに解決すべき問題がある。
  7. 中小企業では、受注を増やし売上を上げることが、大部分の他の問題も解決する。
  8. アンケート調査では、母集団、標本集団のバイアスに注意。顧客層を2つのタイプに分け、結果の差異を分析すると分かりやすくなる。
  9. 具体的な提携手法(企業間提携、産官学連携、公的機関利用等)を提案する。
  10. 具体的な広報宣伝手法(Webの拡充、展示会等)を提案する。

経営全般

  1. 経営計画は、短期と中長期の両方の計画で見る。
  2. 従業員の役割を把握する。
  3. 中小企業の経営者に必要なことは、トップセールスによる販路開拓と、会計データによる企業の現状の正確な把握ができること。
  4. 中小企業はニッチ市場に特化できる。趣味を仕事にする。商品企画アイデアで勝負できる。海外事業に活路を求める。
  5. 外部環境変化(転入世帯の増加、政府の政策の変化)を捉えて、アプローチする。

財務診断

  1. 事業計画、売上目標の提案
  2. 売上が3%上がれば利益は30%上がる。
  3. 事業価値評価の方法(資産が生み出す営業CFの割引現在価値-負債)
  4. 借金返済スキル、新規顧客開拓スキルなど、現実課題の問題解決スキルを磨く。
  5. 中小企業では、借金が多く、収支はトントン(納税はゼロ)になることが多い。ただし経営者の個人資産は多い。
  6. コスト削減は、固定費の削減から考える。
  7. 本業の業績と副業の業績を区別する。
  8. 中小企業は節税のため、会社の収支をトントンにすることが多い。このため、無駄な買い物をする。オーナー経営者の個人資産と会社資産とが不明確になりやすい。
  9. 会計上の資産額と時価評価の実質資産額が大きく異なる場合がある。

商店街診断

  1. 世代別、性別、地域別の顧客セグメント分析を行い、グラフで比較する。
  2. 人の流れを分析。商圏では地理上の特徴も考慮する。
  3. 人口動態分析を行う。
  4. イベントを企画する。
  5. 通行量調査、アンケート調査、店格調査等のチカラ仕事に価値がある。
  6. 商店街は入口が大事。アーケードやのぼり、旗、街灯等のデコレーションで、ここから「街」がはじまることを意識させる。
  7. 商店街としての統一感は、道路のカラー化、街灯デザイン、旗で演出できる。
  8. 商店街共通買い物券、ポイントカードの発行
  9. 歩行者の安全性の確保  駐輪自転車対策 自動車対策
  10. 買い物弱者への利便性向上
  11. 空き店舗をそのままにせず、店舗利用、店舗前スペース利用を考える。
  12. 商店街では、共有施設(道路、アーケード、駐車・交通状況、照明)の整備で集客が変わる。

専門店診断

  1. 顧客ターゲットを絞り込めば顧客の絶対数は小さくなるが、シェアを確保できれば中小零細企業でも十分勝負できる。
  2. マニア向けの高級品をターゲットにする。
  3. お店のコンセプトを明確化する。コンセプトで差別化が図られれば、地理的に近い店が競合店となることはない。
  4. 店舗では、視認性、アクセス性、消費価値と価格の認識性が重要。消費者が来るのを待っているのではなく、こちらからアタックする。
  5. 新規顧客開拓よりも、既存顧客のリピート率を上げる方が容易である。

製造業診断

  1. 工作機械メーカの提案で設備投資をする傾向がある。
  2. 大口納入先(大企業)への依存度が高い。
  3. トリプルチェック体制の確立
  4. 朝礼等、社員との意思疎通
  5. 機械を使った作業や製品の受け渡し、作業管理などは、作業員を観察すればいくらでも改善点は出てくる。小さな改善でも、それを積み重ねれば大きな改善効果が得られる。
  6. 製造業は、整理整頓、仕掛品の流れ、作業手順が診断ポイントである。不良品を発生させないチェック方法の確立。海外からの受注を目指す。
  7. 生産技術は中小企業が保持しているというよりも、、最新の機械設備を導入することで外部から獲得できる。ただし、十分に活用できるかどうかは別問題である。

スーパー・量販店診断

  1. 陳列の仕方を変えるだけで売上アップ
  2. POP広告を活用する。新規取り扱い商品の提案。
  3. 陳列棚以外の通路等の空間も考える。通路はスムーズに。
  4. 膨大な商品種類の管理のしかた
  5. 自分を消費者に見立て体験談を語る。
  6. 陳列管理をビジュアル化する。
  7. テナントの価値
  8. 動線分析がポイント。ジャンルごとに店舗を配置し、コンセプトが分かるようにする。
  9. 陳列棚の左右上下の視認性を確保する。
  10. タイムサービス、ワゴンサービスを挟むことにより、アクセントを付ける。
  11. 一般的とも思われる雑貨売り場も、デザインをコンセプトとすれば、デザインフロアとして新しい魅力を打ち出せる。
  12. 商品レイアウト変更、お奨め商品掲示で販売量をアップできる。小売では商品数が膨大なため、既存商品の管理、新規商品の選定が重要になる。商品レイアウトは、占有面積、陳列の高さで最適化する。

コンビニ診断

  1. 店に置かれていない売れ筋商品をどう見つけるか。(POS分析の限界)
  2. コンビニでは日販品の需要予測が勝負
  3. 店番と店長の違い
  4. 商品陳列の高さ

飲食店診断

  1. 店舗・商品の写真を撮り、競合店を意識しながら分析
  2. ネットで口コミ情報を調べる。
  3. 顧客ターゲット、店の性格付けを行う。
  4. 損益分岐点から経営目標(売上目標)を定める。
  5. お客をよく観察する。
  6. 商業統計の統計データを利用する。
  7. トイレは常にきれいにする。

家電販売店診断

  1. 店舗は、店外から店内を見た場合と、店内に入ったお客が店内を見る場合の両方を考える。室内の視認性、商品の認識容易性、お客へのメッセージ伝達性がポイント。
  2. 大型家電はカタログ販売が基本。顧客との接点の確保・維持が重要。顧客への定期的な接触、顧客満足度の向上、苦情対策が重要。
  3. インターネットによる顧客開拓は、顧客特性として低価格志向の強さと関係の希薄さによる固定客化の困難性により注意が必要。ネットのクチコミ(悪口)にも注意。
  4. 新規顧客開拓のため、地域への転入者へのチラシ配布と割引キャンペーンが効果。環境対応商品は補助金制度をアピールする。
  5. 事業者側から行政に対して意思・意欲の表示をしないと、行政側は対応してくれない。
  6. 地域の商店会、商工会、行政機関、各種団体等のあらゆるチャネルを活用し、販路開拓に努める。
  7. 会社資産(不動産の売買・賃貸収入等)が収益に貢献する場合もある。財務諸表は、節税対策で着色されている場合もあるので注意。